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自動車のブレーキとは?

1t以上の重量を持つ自動車が時速50km以上で走行するにあたり、ブレーキは非常に重要な役目を担います。
ブレーキに不具合があると、止まることが出来ず、交通事故に直結してしまいます。
ブレーキと一言で言っても様々な種類があり、比較的馴染みのある物で単純に区別してみますと「ディスクブレーキ」「ドラムブレーキ」の2つに分けることが出来ます。
そこから更に細かく分類していくと。
ディスクブレーキに使用されるキャリパーのタイプ別で「浮動キャリパー」「固定キャリパー」。
ドラムブレーキにも方式があり、「リーディング・トレーディング」「2リーディンング」「デュオサーボ」の3種類。
ブレーキパッドの種類にも「ノンアスベスト」「セミメタル」「カーボンメタル」「メタル」の4種類。
ブレーキローターで「ブレーンローター」「スリッドローター」「ドリルドローター」「スリッドドリルドローター」「カーボンローター
」の5種類。
このように様々な種類があり、もしチューニング等を考えるのであれば、それぞれ一長一短があるので、目的に合わせた適切なブレーキを選ぶ必要があります。
更にはパーキングブレーキにも種類があり、「ドラムブレーキ」「インナードラムブレーキ」「インキャリパー」「電動パーキングブレーキ」等があります。

ブレーキの仕組み

まず、簡単にブレーキの仕組みについて解説させて頂きます。
ブレーキペダルを踏む事によって、ブレーキが効くのはみなさん勿論ご存じの通りですが、一連の流れとしましては
「ブレーキペダルを踏む」

「ブレーキペダルから倍力装置を介してマスターシリンダーへ踏力が伝わる」

「マスターシリンダーのピストンが押され、ブレーキ配管を通じて各ブレーキへ油圧の力が伝わる」

「各ブレーキのピストンが油圧の力によって押され、ブレーキパッド又はブレーキライニングが押し出されてる」

「ディスクローター又はブレーキドラムとブレーキパッド又はブレーキライニングが摩擦する事で制動力が生まれブレーキが効き自動車が止まる」
という工程を経て、自動車は安全に停止することが出来ます。

ここからは各ブレーキシステムについて説明してみたいと思います。

まずはディスクブレーキのブレーキキャリパーについて解説させて頂きます。

浮動キャリパー

浮動キャリパーとは、ブレーキキャリパーの位置が固定されずに、パッドの残量などによってキャリパーの位置が移動する物を指します。
このタイプはローターの内側にのみピストンがあり、ピストンが押し出され、ピストン側のパッドがローターに押し付けれれる事により、制動力が発生します。
この方式はスライドピンと言うパーツによってキャリパーが動き、外側のパッドはキャリパー本体によってローターに押し付けられる事になり、両側からローターを挟み込むという形になる仕組みです。
ピストンを片側だけに配置する事により、部品点数が少なくなり、キャリパー自体も小型化出来る為、一般的に主流になっているタイプです。
特性上、どうしてもローターにパッドが均一に当たり難くなる為、片減りや偏摩耗が発生しやすくなるデメリットもあります。

固定キャリパー

固定キャリパーとは、車体にブレーキキャリパーが固定されおり、内側・外側にピストンを配置し、一般的には対向キャリパーと呼ばれています。
キャリパーの片側に、1~3個のピストンを配置し、両側で数えて4ポッド・6ポッドキャリパーなどと呼ばれます。
メリットとしては、両側から複数のピストンを押すことによって、均一にパッドをローターに当てることが出来ます。
ローター径やキャリパーサイズが大きくなる事によって、よりこのメリットが生きてくる為、ハイパワー車や高級車、レーシングカーなどに採用されることが多いようです。
部品点数が多く、キャリパーサイズも大きくなり重量も増すので、バネ下重量が増える・装着出来るホイールに制限が出てくるなどの点が、デメリットとなってきます。

ドラムブレーキについて

LT式(リーディング・トレーディング式)

ホイルシリンダーを1つ配置し、回転方向側に配置されたリーディングシュー、反対側に配置されたトレーディングシューをドラムに押し付け、摩擦によって減速停止します。
リーディング側は回転方向になるので、ドラムに押し付けられ自己倍力作用が生まれ、より強い制動力が生まれます。
反面、トレーディング側の制動力はそれほど強くはありません。
後進時は反対方向へ回転する為、トレーディング側が前進時のリーディング側の役目をすることになり、前進後進で制動力に差が出なくなり挙動が安定します。
現在、一般乗用車の大半のリアブレーキに採用されている方式になります。

2リーディング式

2リーディング式とは、ホイルシリンダーを2つ配置し、2枚のブレーキシューをそれぞれリーディングシューとすることで、より強い制動力を発生させることの出来る方式になります。
反面、後進時には制動力が弱くなる為、ピストンが左右に広がり前進時と後進時に両方をリーディング側として使う、デュアル2リーディング式と呼ばれるタイプも存在します。
こちらの方式は主に小型トラック等に採用されていることが多くなります。

デュオサーボ式

プライマリーシューとセカンダリーシューがロッドで連結されており、プライマリーシューの自己倍力作用がロッドを介してセカンダリーシューに伝わり、より強力な制動力を生み出します。
摩擦による自己倍力作用を利用している為、摩擦係数が下がると呼応して制動力も下がってしまいます。
ブレーキは構造上、連続して使用すると、どうしても熱が発生する為、熱ダレによる摩擦係数の低下によって制動力が下がりやすくなってしまいます(フェード現象)。
最近では、トラック等のセンターブレーキ(パーキングブレーキ)に使用されることが多いようです。

パーキングブレーキについて

「そもそも、パーキングブレーキって必要なの?」等たまに、「あまりパーキングブレーキを使わない派」の方もお見受けしますが。
そもそも、フートブレーキとは別系統でパーキングブレーキを備えることが、保安基準で定められています。
駐車の際も、Pレンジのみでパーキングブレーキを作動させていないと、実は道路交通法違反になります。
そんなパーキングブレーキの種類を解説させて頂きます。

ドラムブレーキ式

1番ポピュラーな方式です。ドラムブレーキのブレーキシューにワイヤーを接続し、ハンド又はフットペダルと繋ぎ、ワイヤーを動かす事によって、物理的にブレーキシューを稼働させてブレーキを掛けます。
ワイヤーの戻りが悪いとブレーキを引きずる原因になったりもします。

インドラム式

リアブレーキがディスクブレーキの自動車で、ブレーキローター内にドラムブレーキを設置する方式です。
ブレーキローターがブレーキドラムの役割も果たす形状に作られており、その中にブレーキシューが組み込まれています。
こちらもブレーキシュー自体は、ワイヤーによって作動する構造になっています。

インキャリパー式

リアブレーキがディスクブレーキの自動車において、リアのブレーキキャリパーに直接ワイヤーを接続し、キャリパー内のピストンを、強制的に押し出してブレーキを作動させる方式です。
構造上、部品点数が多くなる他に、車種やキャリパーの構造によっては、パーキングブレーキの制動力が十分に得られないといったデメリットがあります。

電動パーキングブレーキ式

近年、発売されている自動車に多く見受けられます。リアブレーキのキャリパーに装着された電動モーターによって、ピストンを押し出し、ブレーキを作動させる方式です。
電動式になると、室内での操作はボタン操作、又はPレンジ時にオートで作動という物が多いようです。
電動の特性上、パッド交換など整備の際は診断機を使わないと、ピストンを戻す事が出来ない等、ひと手間掛かる仕様になります。

余談ですが、高級車やスポーツカー、チューニングカーになったりすると、メインのブレーキキャリパーとは別に、パーキングブレーキ専用のブレーキキャリパーを装着した、ツインキャリパーの自動車と言う物もあります。
これは、この類の自動車に装着されるビッグキャリパーと呼ばれる物に、パーキングブレーキの機構が装備出来ない為、別にパーキングブレーキ用のキャリパーを装着する必要がある・・・。といった理由からです。

以上、ブレーキの構造の解説が一通り終わった所で、ブレーキパッドの種類について触れていきたいと思います。

ブレーキパッドについて

ノンアスベストパッド

ノンスチール・ノンアスベストで作られた所謂ノーマルパッドと言われる物です。
特徴として、ブレーキ鳴きがしにくく、ブレーキダストも比較的出にくく、ブレーキローターへの攻撃性が少ないといった物があります。
ただ、耐熱性があまり良くないので、俗に言う熱ダレしやすいという欠点もあります。
一般乗用車等に幅広く用いられています。

セミメタルパッド

スチール繊維等を使い作られたパッドです。
耐久性がよく、制動力もノンアスベストパッドと比べると優れます。
デメリットとしては、金属素材を用いている為、ブレーキダストが出やすく、ブレーキの鳴きも発生しやすくなっています。

カーボンメタルパッド

カーボンファイバーとスチール繊維を元に作られたパッドです。
耐熱性と制動力に優れます。主にスポーツ向けの為、寿命は全体的に短い傾向にあります。
上記の用に、寿命が短い・鳴きやすい・ブレーキダストが出やすい・ブレーキローターへの攻撃性があるといったデメリットがあります。

メタルパッド

金属を元に作られたパッドです。レーシングカーやチューニングカーなどへ用いられます。
耐熱性と制動力に優れますが、カーボンパッド以上にローターへの攻撃性・ブレーキダストが出やすい・鳴きやすいと言った欠点があります。
特にダストについてはそれはそれは恐ろしい、ホイールが鉄粉まみれになるのでご注意下さい・・・。

ブレーキローターについて

プレーンローター

ごく一般的なノーマルのローターです。
1枚物のディスクと、2枚を合わせたような形状のベンチレーテッドディスクがあり、ベンチレーテッドディスクは、ディスク間の隙間に風を通す事によって、ブレーキの冷却効果を高めた物になります。
幅広い乗用車に採用されていますが、ターボ車やハイパワー車など、ブレーキの負荷が大きい車に対しては、ベンチレーテッドディスクが採用されます。

スリッドローター

ディスクの表面にスリッドと呼ばれる溝の加工を施し、パッドとローターの摩擦を高めた上で、溝によってパッドの表面を削り、熱等で変質した部分を削って、制動力を保つ役割も果たします。スリッドのお陰で放熱性も多少高まります。
パッドを余計に削る分、パッドの寿命が短くなる・ブレーキダストが出やすくなる等のデメリットがあります。

ドリルドローター

ディスクの表面に穴あけ加工を施し、放熱性と摩擦を高めたローターになります。
摩擦が多くなっているので、パッドへの攻撃性がある他、ブレーキダストが出やすく、穴あけ加工によりディスク自体の耐久性は低下しています。
サーキットや高速道路等において、ディスクが摩耗した状態で高速域からフルブレーキをすると、ディスクにクラックが入ったりすることもあります。

スリッド・ドリルドローター

スリッド加工と穴あけ加工を両方施したディスクになります。
両方のいいところを合わせて一石二鳥!と思いきや、デメリットも勿論両方の特性を持ち合わせています。
特にパッドの寿命、ブレーキダストについてはお察しの通りで御座います。短寿命、多ダスト、クラックリスクです。

カーボンローター

一般的にお目に掛かることはまずない代物ですので、完全に余談になります。カーボンセラミックで作られたローターです。
その重量はなんと一般的な金属製ローターの約50%!圧倒的なバネ下重の削減!
強度、耐久性も金属ディスクを上回り、更には腐食にも強い夢のようなディスクなんですが、原材料の関係上、非常に高価になってます。下手するとディスク1枚30万位するんじゃないですかねぇ・・・。
温度管理も難しく、適温範囲を保たないと全然制動力も発揮しません。低くてもダメ、高くてもダメ。
むしろ高いと発火したりします。たまにウォームアップラップ後に、スタートグリッドに並んだレーシングカーのブレーキが、停止していると、風が当たらず温度が下がらない為に発火したりしてます。

余談ついでに・・・。

国産車は基本的にブレーキパッドを摩耗させて制動力を発生させるという考えの元作られているのですが、
輸入車になってくると、ブレーキパッドとディスクローターの両方を摩耗させ、制動力を発生させるという考えになります。
輸入車に乗っていて、すぐにホイールがまっ茶色になるという経験はございませんか?
これは、ブレーキパッドとディスクローターが両方削れている為です。ローターが削れる分、勿論鉄粉も恐ろしい事になります
輸入車ですと、基本的にブレーキパッド交換2回に1回ディスクローターも交換になります。
ブレーキパッドとディスクローターの交換が重なった時は、非常に高価な整備になってしまいますね。

 

ここまでは各ブレーキの特性や構造を解説してきました。
そろそろ点検についてお話を移していきたいと思います。

ブレーキの点検について

ディスクブレーキの点検

まずザックリと項目を羅列しますと、

  • ブレーキパッドに偏摩耗がないか
  • ブレーキパッドの表面が変質していないか・汚れていないか
  • ブレーキキャリパーの外観に異常は見られないか
  • ブレーキホースの取り付けからブレーキオイルの漏れはないか
  • ブレーキホースにヒビ・接触等による損傷はないか
  • スライドピンのダストブーツに破れはないか
  • スライドピンに曲がりや摩耗はないか
  • ピストンのダストシールに破れはないか
  • ピストンのシールよりブレーキオイルの漏れはないか
  • ピストン自体に錆びや腐食が発生していないか
  • ディスクローターにクラック等がないか
  • ディスクローターの表面が錆びていたり焼けていないか
  • ブレーキテスター等を用いて正常な制動力は出ているか
  • ブレーキの引きずりはないか

以上がおおまかな点検項目となります。次に各項目をさらに詳しく解説させて頂きます。

ブレーキパッドに偏摩耗がないか

ブレーキパッドが偏摩耗等、左右で減り方に差があると、ピストンの戻りが悪い・スライドピンの動きが悪い等の原因が考えられます。
どちら側のパッドに偏りが出ているかによって、原因を探して修理します。

ブレーキパッドの表面が変質していないか

ブレーキパッドの表面が変質してしまうと、摩擦係数が落ちて制動力が低下してしまいます。
グリスやオイル等が付着している場合も同様に制動力が低下します。

ブレーキキャリパーの外観に異常は見られないか

走行中に飛び石が当たったり、車の下を何かにぶつけたりした時、ブレーキキャリパー本体に傷等が入る場合があります。
多くのブレーキキャリパーはアルミ製の為、アルミは強い衝撃が加わるとその時は大丈夫でも、何かの拍子に突然割れたりといったことがあります。もし走行中にブレーキキャリパーが破損してブレーキが効かなくなれば重大事故につながります。

ブレーキホースの取り付けからブレーキオイルの漏れはないか

ブレーキキャリパーとブレーキホースの取り付け部分、ブレーキパイプとブレーキホースの取り付け部分からブレーキオイルの漏れがないか確認します。ブレーキには強い圧力が掛かる為、漏れが発生していると、いずれ、リザーブタンクのブレーキオイルが無くなってしまい、ブレーキが効かなくなり重大事故につながります。

ブレーキホースにヒビ・接触等による損傷はないか

ブレーキホースはゴムで出来ている為、曲がり部分の劣化によるヒビや外的要因の損傷に弱いです。
ヒビや損傷部分から漏れが生じる為、異常がある場合は直ちに交換が必要になります。

スライドピンのダストブーツに破れはないか・スライドピンに曲がりや摩耗はないか

通常、スライドピンはグリスで潤滑されダストブーツによって保護されています。
ダストブーツが破れていたり、ちゃんと装着されていないとスライドピンにゴミや水が入り、グリスが枯渇して動きが悪くなる、砂やゴミが噛んで動きが悪くなる、砂等でスライドピン自体が偏摩耗していまう等、不具合が発生してしまします。
また、スライドピンの動きが悪くなるとブレーキの引きずり等が発生します。

ピストンのダストシールに破れはないか・ピストンのシールよりブレーキオイルの漏れはないか・ピストン自体に錆びや腐食が発生していないか

ピストンを保護しているダストブーツに破れが発生すると、内部に水やゴミが入り込み、ピストンシールの損傷からオイル漏れ、錆びや腐食によってピストンの動きが悪くなる等の現象が発生します。
ピストンシールよりオイル漏れが発生すると、重大事故につながります。
ダストシールの破れや漏れが発見された場合、シールキットを用いてキャリパーのオーバーホールを行いますが、ピストンやキャリパー内部の錆びや腐食・摩耗が酷い場合はブレーキキャリパー自体の交換になったりもします。
整備費用を抑えて人命を守る為にも、日ごろからの点検整備は重要になります。

ディスクローターにクラック等がないか・ディスクローターの表面が錆びていたり焼けていないか

ディスクローターには摩耗限界点が設定されています。摩耗限界点を超えて使用していると、高速走行時のブレーキングなどでディスクにクラックが入ってしまったり、最悪ディスク自体が割れて重大事故につながる恐れもあります。
また、表面が焼けて変質してしますと、摩擦係数が下がり制動力が落ちてしまいますし、錆びが発生している場合は、ブレーキの引きずりや片効き等が発生している場合があります。パッドとローターがちゃんと接触していない部分は錆びが発生します。

ブレーキテスター等を用いて正常な制動力は出ているか、引きずりはないか

見た目だけの点検では、実際どこか1輪だけ制動力がおかしい場合や、軽微な引きずりを起こしているのこと分からない場合があります。
テスターを用いて実際の数値を測定し、異常がないか点検します。

ドラムブレーキの点検

つぎにドラムブレーキの点検項目を解説いたします。

  • ブレーキドラムに摩耗や焼けクラックが入っていないか
  • ブレーキシューに偏摩耗や変質がないか
  • ホイルシリンダーのダストブーツは破れていないか・漏れはないか
  • リターンスプリングは適切に掛かっているか・破損がないか
  • アンカーピンが適切に掛かっているか
  • 調整は適切であるか、ブレーキ配管の取り付け部分に漏れはないか

ブレーキドラムに摩耗や焼けクラックが入っていないか

ブレーキドラムも消耗品です。ブレーキシューとの当たり面が摩耗してクラックが入ったり、焼けて変質してしまうこともあります。
調整の欄で後述しますが、完全に割れて無くなってしまうことも・・・。

ブレーキシューに偏摩や変質がないか

ブレーキシューに偏摩耗がある場合は、グリスが切れて動きが悪い場合や、荷物を積みすぎで場合もあります。
特に荷物を沢山積まれて、いつも過積載気味に走っている自動車では、リーディング側が極端に減っていることもあります。
表面が変質していると、摩擦係数が下がり制動力が低下してしまいます。

ホイルシリンダーのダストブーツは破れていないか・漏れはないか

ホイルシリンダーのダストブーツが破れていると、中に水やゴミが入り込み錆びや腐食、漏れの原因になります。
漏れがあると、重大事故に繋がります。漏れがある場合はホイルシリンダーのカップキットを用いてオーバーホールしますが、内部の状態によっては、ホイールシリンダー自体の交換になる場合もあります。

リターンスプリングは適切に掛かっているか・破損がないか

ブレーキシューにはリターンスプリングが掛かっており、ブレーキを作動させていない時はブレーキが引きずらないようになっています。
スプリングのかけ方を間違えたり、スプリング自体に破損があるとブレーキシューが適切な位置に戻らず引きずりの原因になります。

アンカーピンが適切に掛かっているか

ブレーキシューはアンカーピンによって、バックプレートにある程度位置決めされています。
このアンカーピンが適切に掛かっておらず、外れてしまったりした場合、ブレーキシューが適切な位置に収まらず、
ブレーキの引きずりやブレーキがしっかり効かないといった現象の原因になります。

調整は適切であるか

ドラムブレーキの調整は非常に重要です。調整がきっちりなされていないと、様々な不具合を生じさせます。
調整が緩い場合は、十分な制動力が出せませんし、逆にキツすぎるとブレーキの引きずりが発生します。
ブレーキを引きずると発熱し、ブレーキドラムやブレーキシューが焼けて変質し制動力の低下につながります。
あまりに調整がキツイ場合は、最悪の場合、発熱し過ぎて走行中にブレーキドラムが完全に割れてしまって、脱落するといったこともあります。
実際に、過積載+調整キツすぎが原因で、発熱によってブレーキドラムが真っ二つに割れて、脱落し部品が行方不明という自動車を見たことがあります。
乗っている自動車が事故につながる可能性もありますし、脱落したブレーキドラムで後続車両が事故になる可能性もあります。恐ろしいですね。

ブレーキパイプの取り付け部分に漏れはないか

ホイルシリンダーとブレーキパイプの取り付け部分からブレーキオイルの漏れがないか確認します。
漏れがある場合は、重大事故につながる可能性があるので、修理が必要になってきます。

まとめ

ブレーキには様々な種類や構造がありますが、その用途によって、適切なブレーキシステムやパーツを選択する必要があります。
更には、点検方法や、点検頻度も変わってくる為、用途に合わせて、適切な点検整備が必要になってきます。
ブレーキは、私たちが安心安全に自動車を使って、生活する為に欠かせない物です。
もし、走行中にブレーキに異常が生じて、事故に繋がってしまったら、誰かの大切な人を奪うことになってしまうかも知れませんし、自分の大切な人を悲しませることになってしまうかも知れません。
適切に点検整備を行い、みなさんに安心安全なカーライフを送って頂ければと思います。

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